マルトリートメントによって

 

‘真実’を伝えることは、ときに大きな心理的ダメージを与えることもある。真実を受け入れることは、とても胸の痛む作業です。突きつけられると、苦しくなるものです。ですが、それでもわたしは、‘真実’を真摯に受け止めていく強さと勇気を持ちたいと思います。

実は最近、個人的に‘真実’をズバッと見せられるような出来事がありました。胸に突き刺さるようで、とってもとっても苦しかった。正論や真実やアドバイスを飲み込むのは、本当に本当に苦しいことです。

 

けれど、それでも次に進むためには、飲み込むしかないんだな。

「間違ってた」と。受け入れることが、出発点。

 

・・・・と、つぶやきつつ、今日のながーい記事を始めます。

 

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こころの歪みはこうして現れる

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マルトリートメントを受けて育った子には、脳の発達が阻害されることをお話してきました。「心」が傷つくとは、まさに「脳」そのものが傷つくことを意味していたのですね。

 

さて、そんなマルトリートメントを受けた子どもたちに、その後どんな行動や症状が現れるかをザッと羅列してみます。とても難しいですが、今まで他人事と思っていた「虐待」のイメージから「マルトリートメント」のイメージに変換して見てみてください。そうすることで、もしかしたら、そうならない未来が待っているかもしれないから。

 

「うちの子もそんな風に感じる日があるんだよね」

「それとなく似た症状を訴えていることがあるな」と素直に思える方なら、今日からお子さんへのかかわりを変えていけるかもしれません。

 

とは言え、大げさに捉えて、お子さんを質問攻めにしてしまうとか、ご自身の子育てに自信をなくすのは、本当にやめてください。それは、わたしが望むことではありません。ブログで話せるギリギリのお話をしている自覚とリスクを感じながら、以下に提示します。

 

〈マルトリートメントによって子どもに表れる行動や症状〉

 

◆心身症(不定愁訴・起立性調節障害・過換気症候群・摂食障害・過敏性腸症候群・反復性腹痛・心因性頻尿・遺尿・周期性嘔吐症など)

◆不安・抑うつ

◆不登校・引きこもり

◆不眠

◆非行・家庭内暴力

◆強迫症状・自殺企図・リストカット

◆注意力障害

◆学習困難・学力低下

◆衝動統制力・対人関係能力の未熟さ

◆いじめ(被害者にも加害者にもなりうる)

◆早すぎる思春期への突入

◆選択性緘黙(かんもく)(ある特定の場面や状況になると話せなくなる症状)

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人は最善策を尽くしている

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少し視点が飛びますが、人は誰でも「その時」「その場で」「最良の選択だと思う事」しかしません。どんなシチュエーションでも、そのとき2番目にいいことではなく、1番目にしたいと思う事しかしません。

例えば、奉仕作業なんて行きたくないと思っていながら草むしりしていたとしても、それはあなたが1番いいと決めて行ったことです。というと、そうかしら?と疑問に思うでしょうか。実は、すべてそうです。

良く考えると納得です。奉仕作業は嫌だけど、それより近所に良く思われないほうが嫌だからという気持ちが強ければ参加するでしょう?こんなふうに、人はどんな時も「その時その場で最良・最善の選択をしている」わけです。

夫や他人から冷静で的確なアドバイスや正論をもらったときにイラっとするのも、「その時の自分にとって最善を尽くしたんだから」という思いが働くからです。だから「そんなこと言われたって、(その時は)そうするしかなかったの!」と怒りたくなるのです。

 

傍から見れば、どんなにおかしいと思えることも、当事者にとっては最善の選択でしかありません。虐待事件の親だって(かなりメディアで叩かれてますけど)本気で「しつけだ」と思ってやってしまったのです。

 

はい、わたしの言いたいことはここから。

 

 

同じことが、一般の親にも言えないでしょうか?

 

 

最善だと思っていたことがー

良かれと思って努力してきたことがー

愛情だ、しつけだ、と信じてかかわってきたことがー

この子のために、と思ってかけてきた言葉の数々がー

マルトリートメントになってしまっていることも、ないとは言い切れないのではないか。最善の選択をしてきたと本人(親)が思っていたとしても。

 

〈参考文献 子どもの脳を傷つける親たち 友田明美 著〉