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食欲と生きるエネルギー
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たくましさがないと、肉体的に「死」に向かいます。
一番身近な例が、食欲がなくなるということでしょう。食べる行為や食欲は、すなわち生きることへの欲求です。できるだけたくさん食べればいいという意味ではありません。(もともと食の細い子もいます。ストレスで過食に走るなどとも区別しなければなりません。)
子どもの心のエネルギー、生き生きと生活しているかを測るバロメーターとして「食」が外せないと知ったのは、教員時代でした。うまい先生のクラスの残飯が少ないことに気付いたのです。うまい先生というのは、子どもの心を生かしたクラス経営ができる方のこと。子どもが生き生きとした明るいクラスは、給食を食べる量も多かったんです。チラチラ廊下を見ながら歩くと、力のある(とわたしが思う)先生のクラスの残飯は、かならず少なかった。そこで、思いました。ああ、「食べる」って「生きる」なんだと。
だから、生きることへのエネルギーが正しく作用している時、人は正しく食べるのです。本人の必要な分だけ。
というわけで、食欲がないことを、「死」に向かっている行動の、1つのシグナルと捉えていいような気がします。もし、お子さんが食欲がないときは気にしてみてあげてください。気持ちの揺らぐようなことがあったのかもしれません。
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たくましさとの関係
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食欲だけでなく、たくましさがないと自分の命を大切にできなくなっていきます。自暴自棄になって非行に走るのも、犯罪やドラッグに手を染めるのも、SNSで出会った人と疑似恋愛を楽しんだりするのもそうです。自分の命の重みを感じられないから、大切にできなくなっていきます。
うつ病や過食症・拒食症、リストカット、引きこもり、ニート、不登校。
・・・どれもこれも、彼・彼女が乗り越えられないような壁に直面したときに起こることだと思いませんか。
そうなんですよ、乗り越えられなくて困っているから、自分を守ろうと引きこもったり、より多くのストレスを避けようとして学校に行かなくなったり、自分自身がいなくなれば問題ごとなくなると考えて自分を傷つけたりするのです。
病気になれば、自分で稼ぐことが難しくなります。ドラッグから抜け出せなくなれば、社会的信用を失いますよね。自分を大切にできなくなるということは、それ自体が「死」に向かっていくということなのですよ。
どうしてそうなってしまうのか?
本人の「たくましさ」がキャパオーバーしてしまったからですね。問題に対峙し、乗り越えるだけの「たくましさ」を持ちあわせなかったから、そうなるしかなかったんです。
これが、わたしの言っている「たくましさがないと死に向かう」ということです。
でも、ここまで言っても、そんなことにはならないだろうと、どの親も思っています。でも、起きていますね、現実に。というか、不登校に関しては年々人数が増加していて、去年は過去最悪の児童生徒数でした。
それでも、まだ自分事(じぶんごと)として考えられない方は、もっと身近な現象に落とし込んで考えてみるといいかもしれません。明日は、もっと身近にある、自分の命を大切にできなくなる現象についてお話します。覚悟して読んでください。
◆今日のまとめ◆
食欲がないことも、死に向かう一つのシグナル。たくましさが育っていなくて乗り越えられない壁に直面したとき、自分の命を大切にできなくなる。