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「初めて」が肝心
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「初めては一度しかないんだよ」と母に教えられた時の衝撃を、わたしは今も覚えています。中学生の頃でした。「初めてって、、、振り返るものじゃないんだな」と知り、おかげで「初めて」の物事に対して、意識的に出会う癖がつきました。
さて、そんな「初めて」を象徴する出来事を紹介します。
ある日、カナヘビをつかまえた長女。そして、虫かごに入れて物置にしまいました。夏のことでした。よくある子どもの日常の風景ですね。
そのまま数日が経ち、カナヘビは・・・そう、物置で命を落としていました。
ここで「あーあ」とサッパリ終わらせるのか、「もう!だめじゃん」と軽く叱るのか。ここが、親として大事な場面。
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1発目の態度をハッキリさせる
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わたしは、彼女が「初めて」自分のせいで1つの命を奪った瞬間に、大真面目に向き合うことにしました。
「初めて」を大切にしたかったからです。
わたしは「あなたが、殺したの」と、娘に敢えて強い言葉を使いました。「このカナヘビは、お父さんだったかもしれない、大切なお友達と遊ぶ約束をしていたかもしれない、今頃、このカナヘビのお母さんが泣いて探しているかもしれない」と。「お腹すいたな、のどがかわいたな、こんな暗いところ嫌だなって思いながら、独りぼっちで死んだのよ」彼女は当時、まだ4才でした。
それでも、長女はボロボロ泣きました。ごめんね、ごめんね、と泣きながら、庭にお墓をつくました。
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ダメなことはダメと教える
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「だれにでも優しくしよう」とか「命は大切です」と言葉でいうのは簡単ですが、実体験こそ宝。命を奪うようなこと、絶対にしちゃいけない、弱い者いじめなんて絶対だめなんだよ。そんなメッセージの威力は、1発目だからこそです。
最初に「そのくらい仕方ないよ」としておいて、次にカンカンに叱るとなると・・・子どもの方は困惑するのではないでしょうか。(ずーっと曖昧よりはいいと思います!)
しつけは、ダメなことはダメだと徹底的に教えることです。命を大切にすることは、全ての子どもに徹底的に教え込みたい大事なことではありませんか。
自殺もイジメも、突き詰めて考えれば「命を大事にできる心がどれだけ育っているか」に通じるのだから。
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しつけは積み重ね
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このカナヘビ事件を、彼女は忘れているかもしれません。今年は次女にも同じようなことが起き、そして同じような対応をしましたが、出来事自体を忘れてしまっても別にいいのです。
「あんなことがあったね」は忘れてもいい、その代わり「生き物を大事にするべきだ、命はどんなに小さくても大事なんだ、居なくなると悲しむ仲間がいるんだ」という‘何となく’な感覚が積み重なっていくことが「躾(しつけ)」なのではないでしょうか。