なにかが起きたとき、よく親は「なんで?」と言い寄りますが、それは理由を聞いたことにはならない、とわたしは考えています。大人は「聞いているつもり」なだけで、子どもからしたら詰問にすぎません。聞いてもらってうれしいな、ありがとう!とは思わないでしょう。
わたし自身は、いつもいつもできるわけではないですけど、ここぞ!というときには、こんなふうに言うようにしています。教室の子にも、我が子にも、どこのどんな子にも、こう言います。
「何があったの?」と。
理由を聞く、というのは、こちらが望む回答が返ってくることでも、ごめんなさいを言わせることでもない。子ども自身が、聞いてもらっていると思ってくれているかどうか、なのです。
そう考えると、本当の意味で「理由を聞く」ということは、前後に何があり、誰がどうして、そこでどう感じ、あなたはどう行動したの?と聞く、という、簡単ではない作業だと感じます。(そう、だからわたしは昨日のブログで、完璧にできている人がいたら会ってみたいと言いました)
このことが、なぜ「言うことを聞く」につながるのか?ですが・・・。
それはずばり、そこに信頼関係が生まれるからではないでしょうか。
信頼している人の言うことは聞くようになります。
あなただって、頭ごなしに叱ってくる上司よりも、失敗の裏側にあった事情を事細かに淡々と聞いてくれる上司のほうが、指示を素直に聞いてみようと思いますよね?
それと同じことです。「理由を淡々と聞く」ことで、信頼関係が構築され、言うことを聞いてくれるようになっていく。とても自然な心理だと思いませんか?
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ここしばらく、「言うことを聞かない子」に効果的な方法について、かなり濃い内容でお話してきたつもりです。毎日5項目を意識して生活してくださり、なんにも変化がないのであれば、わたしにご一報ください。謝ります(笑)
まとめです。
➀注意する前に5秒カウント。
➁叱るときは例外なく叱る。
➂いい子でいてほしいと思わない。
➃すべての要求にイエスで答える。
➄理由は淡々と聞く。
人は忘れます。忘れたくない方は、忘れないようにする方法を見つけてほしいと思います。
最後に、この5項目が持つ、あるメッセージを、たった一つの言葉で表現してみます。その言葉とは・・・
「満たす」
いままでお話してきた5項目が何を目指してきたか、というと、この「子どもを満たす」という一言に尽きます。
言い換えれば、満たすために5項目はあります。
わたしは、あなたの愛情不足です、なんて批判しているわけではありませんよ。
むしろ、愛情があるのにうまくいかないなら、と5項目を提案してみたのです。「注意する」エネルギーを「待つ」エネルギーのほうへ。子どもと言い争いになるストレスを「イエス」と答える勇気のほうへ。
そうやって、あなたの愛とエネルギーの矛先をちょっと変えるだけで、くるくる歯車が回り始めてくれたら。わたしの何よりの喜びです。
やってみてください。応援しています!